解説
プロトコル分析は、言語記録を通して思考を研究する。チェスでは、参加者に局面を与え、実戦と同じように一手を選ばせ、その途中で浮かぶ考えを声に出してもらう。検討した指し手、相手の応手、評価、迷いなどである。その記録がプロトコルである。
プロトコルの収集と分析
- 現実のチェスの決断に十分近い、代表性のある課題を用いる。
- 参加者は、その時点で注意を向けていることを言葉にする。セッションを講義にしたり、各思考へ後から理由を付け足したりしない。
- セッションを録音し、文字起こしする。
- 研究者は内容を分類し、調べる選択肢を生み出す候補手生成、少数の重要な変化へ注意を集中させる、計算、評価を研究する。
この方法は、チェスプレイヤーがどのように指し手を選ぶかを扱った古典的研究で中心的な役割を果たした。最終回答だけでは見えない過程を示せる。同じ手を選んだ二人でも、そこへ至る心的な道筋は大きく異なることがある。
プロトコルは心の完全な複製ではない。見慣れた駒配置の素早い認識は言葉なしに起こり得るし、発話する前に消える考えもある。また、話すことで課題の進行速度がわずかに変わる場合もある。したがってデータは、言語化できる思考についての証拠であり、認知全体を完全に読み取ったものではない。
用法と背景
これはチェスへ応用された心理学研究法であり、通常の棋譜注釈形式ではない。
よくある混同
対局後の分析
対局後分析は、後から起きたことを再構成する。同時進行のプロトコルは、意思決定中に本人が言語化した内容を記録する。
解答の説明
解答説明は後知恵によって理由を整理する。プロトコルは、迷い、修正、捨てた変化も含め、実際の流れを保とうとする。
出典
- 1.Capturing Expert Thought with Protocol Analysis: Concurrent Verbalizations of Thinking during Experts' Performance on Representative Tasks, Cambridge University Press
- 2.Thought and Choice in Chess, Amsterdam University Press
